2017年3月11日土曜日

第3節 川崎 VS 柏  -やはりおかしい柏のSBの守備-

J1リーグ 第3節 川崎 VS 柏.

プレビューで柏のDFラインのシフトが無いこと,特にSBの守備がおかしいことを指摘した.
そのためか,2節のスタメンから,失点の要因になった右SBだけが変わっている.

結論から言うと,選手の問題もある程度あったのだろうが,チームとしての守備の設計がおかしいのがより深刻な問題だと思う.

以下では,それを見ていく.



確認のために,両チームの布陣.どちらも4-4-2.

まずは,右SBのポジショニングから見ていく.



前半4分.
左から右に攻める川崎,それを迎える柏.
サイドチェンジして,左サイドの選手によいボールが出た場面.
やはりSBが引っ込んでいる.

たしかに,FWがそばに居る.けど,一枚だけ.
SHが間に合っているというのもあるけど,もう少しサイドに寄って,前に出て良いと思う.


似たような場面を第1節の大宮で探してみた.


同じく左から右へ攻める川崎,迎える大宮.
サイドチェンジして,左サイドの選手によいボールが出た場面.
大宮の右SBが,シフトして少し前に出ているのが分かるかと思う.

ボールと逆サイドのSBとSHの位置は,柏と大宮ともにほぼ同じである.
しかし,柏はボールサイドのSBとCBの距離が近いため,ボールにうまくアプローチ出来ていない.
もちろん,大宮の場面はSBとCBの間にFWが居なかったり,SHが間に合っていなかったり状況は異なる.
しかし,大宮は川崎の選手がどこに居ようが,ボールがあの位置にあるときはこのような配置になるのだと思う.

まあ,この場面のあと,大宮のSBはかわされてサイドを突破されるんだけどね..


以下では,柏のSBの守備の設計が良くないことを,左SBの守備から見ていく.



前半キックオフ直後の場面.
大島から,CMFとSHの間に入った中村へパスが通る.

中村の背後から,かなり勢いよく柏のSBがチェックに行く.
おそらく,チームの約束事として,CMFとSHの間を通すようなパスには,SBが激しくチェックに行くことになっているのではないかと思う.
これはあまり良くない対応.

チャレンジ&カバーの原則を無視している.




ボールに対して一人が前に出て,その両脇の選手は中央に絞る,というのがチャレンジ&カバー.
前に出た選手を頂点とする三角形を作る.
これによって,縦へのボールを通せなくさせる.



サイドの選手には,両脇に選手がいない.
しかし,タッチラインがあるので,そちら側は気にしなくて良い.



けど,このタッチラインが遠かったらどうなるだろうか.
すぐ分かるように,サイドに大きなスペースを作ることになる.

柏のSBのチェックは,こういった状況を作り出している.


では,CMFとSHの間を通してパスを受けられたらどうすればよいのか.

今の状況では,中村は中盤のラインまで落ちている.
したがって,SBはCMFに中村のマークを預けてすぐに下がる.
そして,SHはCMFのカバーの位置に入る.
SHは,CMFからのプレスが十分かかっていれば,中村を挟みに行っても良い.
ただし,CMFとSHが並ぶので,裏へのパスは十分に注意しなければならない.

続いて,今の状況と少し違うが,CMFとSHの間をパスで通されて,中盤とDFラインの間でボールを受けられた場合についても見よう.

これはまた,大宮の対応を見れば良い.



左から右へ攻める川崎.
田坂からCMFとSHの間を通してパスがでる.
それを受けた阿部が上手くターンしたところ.

阿部に対しては,CBがチェックに行っている.
左SBは,サイドに開いた小林ではなく,CBのカバーを優先している.
右CBがもう少し絞ってくれると良いかと思うが,オフサイドラインを意識して足が止まった様子.

CBを前に出すと,その裏を使われる可能性はある.
しかし,CBの両脇の選手がしっかりカバーしていれば,そうそう上手く使われることは無い.

さて,話は川崎vs柏に戻る.
川崎は,上記のようにして出来たSB裏のスペースを使えたのだろうか.



左から右へ攻める川崎.
奈良からCMFとSHの間を通して,降りてきた小林にパスがでる.
小林は,中盤のラインとDFラインの間でパスを受ける.
そこへプレスにくる柏のSB.
そのSBの裏を狙う阿部.

小林がボールの軌道を少し変えれば,簡単に阿部にボールが渡る.
しかし,大島へのパスを選択.

少なくとも阿部は,かなりしっかりと分かっていて,それに適した動きをしていた.
しかし,小林は気づいていたのだろうか.
小林は,どこのポジションの選手がプレスに来ているのか,その結果何処が空くのか,ということを確認できているのだろうか.
少し疑問である.

では.

以下,よろしくお願いいたします.
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画像は(株)Jリークメディアプロモーションが制作し,DAZNが放映したのを引用した.
ただし,画像中の名前,数字,矢印などの記号は著者が加筆した.