2020年7月23日木曜日

センターバックからのパス 2020年 第6節 川崎フロンターレ 対 ベガルタ仙台

ボールは保持出来ていますが,ゴール前になると余裕が無くなりワンタッチプレーで終わる,という場面がありました.
その原因の一つとして,センターバックからのパスの質がありそうです.


川崎フロンターレは,いつも通りの4-3-3.
ベガルタ仙台も,4-3-3.
けど,守備の時は,4-5-1と両ウイングが中央のラインに入ります.

ベガルタ仙台戦でのセンターバックからのパス

前半15分.右から左に攻める川崎フロンターレ.
谷口がボールを保持しています.
仙台は4-5-1にしっかり引いていて,なかなかスペースがありません.

ここから,谷口は脇坂にパスを当てます.
傍には仙台の選手が居て直ぐに寄ってきます.
脇坂はダイレクトで谷口にパスを返します.

このとき,脇坂は微妙にサイドに流れます.
仙台の7番はそれに釣られて少しだけサイドに流れます.

谷口にパスが戻った場面が以下です.

仙台の7番がサイドに少し流れたため,仙台の最終ラインと中央のラインの間(ピンク丸)へのパスコースが若干出来ました.
そこに大島が走り込みます.


大島の走り込むタイミングは,谷口がパスを出すタイミングに見事にあっています.
けど,谷口のパスは大島へ直接ではなく,田中に..


田中も直ぐに谷口へパスを返します.
その後,ようやく谷口から大島へとパスが通ります.

けど,ここまでに時間がかかっているので,大島はゴールに背を向けて,さらに仙台の選手が詰めてきている状況でパスを受けることになります.
そうすると,出来ることはあまりないです.

この後,大島はワンタッチでダミアンへとボールを逸らしますが,ダミアンへは渡らず..

谷口のパスが田中を経由しないで,直接大島へと渡っていたら,状況はだいぶ違ったと思います.
ただ,足下へのパスでは無く,走り込む大島へのスルーパスになるので,パスの難易度は非常に高いです.

けど,少し前の試合ではこういったパスが出ていました.


FC東京戦(3節)でのセンターバックからのパス

前半14分.右から左に攻める川崎フロンターレ.
ジェジエウがボールを保持しています.

大島がサイドに流れて,FC東京の中央の選手を引っ張ります.

大島が作ったパスコースの先のスペースへ,脇坂が走り込みます.
走り込んだ脇坂に,ジェジエウから直接スルーパスが通ります.
脇坂は前を向いて,しかもスピードに乗った状態でボールを受けることが出来ました.
いっきにチャンスです.見事です.
センターバックからこういったパスが出るのは凄いことだと思います.

今後も4-5-1というように引いて守ってくる相手はたくさん居るでしょう.
センターバックからのパスがさらに重要になってきます.

一昔前に比べて谷口のパスは格段にレベルが上がっていると思います.
谷口からのスルーパスは今後に十分期待していい,と思っています.


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画像は(株)Jリークメディアプロモーションが制作し,DAZNが放映したのを引用した.
ただし,画像中の名前,数字,矢印などの記号は著者が加筆した.

2020年7月21日火曜日

徹底的に押し込む 2020年 第5節 川崎フロンターレ 対 横浜FC

川崎フロンターレの攻撃の布陣だと,横浜FCの守備はやりずらかったと思います.
4バックの相手になれていたからか,いつもと同じに出来ない部分が多かったのではないでしょうか.
それでも,徹底的に押し込んで得点を取ることが出来ました.

川崎フロンターレは,いつも通りの4-3-3.
横浜FCは,複雑そうに配置されていますが,少し前にイタリアで流行った3-5-2です.
中央両サイド2名は,押し込まれたら最終ラインに入って5-3-2で守る感じになります.

先制点の押し込み具合

前半26分,右から左に攻める川崎フロンターレ.
家長がペナルティーエリア端からクロスを上げる直前の場面です.


ペナルティーエリア内に,ダミアン,長谷川,大島,脇坂が入ってクロスを待ち構えています.
この段階で人数は多いと思うのですが,ペナルティーエリアの側には,両サイドバックの登里と山根,さらバイタルエリアには田中がいます.
見える範囲に8人!
画面外に居るのはセンターバックの二人とゴールキーパーだけです.

後半のアディショナルタイムでなんとか一点取りたい,という場面では無いのですが.
見事に押し込みました.
この状況でも家長が前を向いて余裕を持ってクロスを上げられているのが,さらに凄いです.


この場面に至るまでの横浜FCですが,何か様子が変でした.
中央左サイドの37番の動きが,直前だけ違いました.
通常でしたら,図のように,目の前にフリーな家長が居ようが,サイドのスペースを埋めるように動いていました.

家長がボールを受けようと前線から降りきて,フリーになっているのですが,そちらはケアせずに,サイドのスペースを埋めるように戻っていました.
5バックを形成して,中央の守備は3ボランチに任せます.

けど,先制点の直前はこれと異なる動きをしていました.

なぜか,中央のラインにとどまっています.
目の前に脇坂(?)が居ると言えばいますが,すぐ反対には味方がいるので,特別気にする必要は無いはずです.
もちろん,サイドに開いた家長にパスが出たら,37番はすぐプレスバックするのですが,居る位置が違いました.
この場面では,4-4-2に近い形になっています.
通常の陣形に戻す時間は十分にあったので,意図があったような気がしないでも無いです.

この直前には,29番が簡単なパスミスをしたり,その後27番が長谷川のフェイントに簡単に足をもつれさせたりと散々な状況が続いています.

給水タイム直後なので,給水中に何か指示が出て,仕掛けようとしていたのでしょうか?

他に上記のような場面は無かったので,分からずに終わってしまいますが..すいません..


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2020年7月13日月曜日

コーナーキックの準備も怠らない 2020年 第4節 川崎フロンターレ 対 柏レイソル

セットプレーから2得点.
このセットプレーもしっかり準備してきたような気配があります.
なんかもう隙が無い感じです.
見事でした.


まず,布陣は以下の通りです.
川崎フロンターレは4-3-3で,何人かメンバーを入れ替えてきました.
疲労対策かと思います.

一方の柏レイソルは,メンバーだけでなく布陣も変えてきました.
前節は公式サイトを見る限り4-4-2,それが4-3-3に合わせてきました.

期待しつつ,まずは柏レイソルの守備から確認します.




柏レイソルの両ウイングの守備

前半2分,左から右に攻める川崎フロンターレ.
谷口がボールを持っています.

柏レイソルは,4-3-3の形に綺麗に配置しています.
中央の3枚はしっかりと距離を詰めています.
両ウイングは積極的に前に出てきて,ボールを奪いに来ます.
ボールが高い位置にあるときは,このような配置で守っていました.

押し込まれたときの状況が以下です.



ちょっと極端な例ですが,両ウイングがしっかりと中央のラインに入っていました.
しかも,かなり中央に寄っています.

ウイング(WG)の動きを見ると,川崎フロンターレに対してしっかり準備してきたのが分かります.
図は前半10分.右サイドを少し抉って,逆サイドにボールを送ろうとしている場面.

柏レイソルの右WGの動きを見ていきます.
今は,逆サイドにボールがあるということで,中央のラインより少し前に出ています.

家長から谷口にボールが渡って,谷口はドリブルで持ち上がります.
このとき,柏レイソルの右WGは,サイドに開いてフリーになっている車屋ではなく,味方選手との距離を詰めるように中央に寄ります.
それを見た谷口は,車屋にパスを出します.
このパスが出た後に柏レイソルの右WGは車屋にプレスに行きます.

サイドはある程度ボールを持つのを許し,中央を通させないという意識で守っています.

川崎フロンターレの攻撃の対応策としては妥当な策です.
ただ,両WGが頑張っている割に,中央の運動量が物足りない気がしますが..

いずれにしろ柏レイソルは,しっかりとした準備をしてきました.
こういった守備をしっかりと準備してくる相手に効果的なのは,セットプレーです.

コーナーキックの準備も当然怠らない

前半先制点の場面のリプレイです.

柏レイソルは,ニアにゾーンで守る4人が居て,ファーにマンツーマンで守る4人が居ます.
キッカーが蹴る瞬間の場面ですが,よくよく見ると変なことしているのが一人居ます.
ボールの方を見ないで,ゴールと逆側に動いています.
長谷川です.
最初はゴールキーパー周辺に居たのですが,蹴る直前にゴールと反対側へ動きます.


長谷川は何をするかというと,家長にマンツーマンで付いていた選手をスクリーンアウトします.

その結果,ゴール前で家長はフリーに.
今回は相手DFに当たったボールが来ましたが,ニアに駆け込んだ選手がボールをそらしたのを,というのが本来の狙いだったのでは無いかと思います.

3点目はもっとシンプルです.

家長が前に出て,ゾーンで守っている選手を少し釣り出します.
そこへダミアンが勢いよく走り込んで,ズドンと.

キッカーの精度が必要ですが,シンプルで防ぐのが難しい得点だと思います.


川崎フロンターレは,セットプレーでもしっかりと得点ができ,いよいよ隙が無くなってきました.

一方,柏レイソルはしっかりと準備してきたので残念でしょう.
最初に失点したとに気落ちしたのか,明らかに集中力が切れていました.
家長の2点目は勿体なかったです.
おそらく前半0-0で,後半から好調のFW19番を投入して点を獲る計画だったのではないでしょうか.
実際に19番には点を獲られてますし..

FC東京の監督も言っていましたが,川崎フロンターレに先取点を取られるのは精神的にダメージが大きいようです.


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2020年7月9日木曜日

2020年 第3節 川崎フロンターレ 対 FC東京 ー計画通りの先取点ー

前半先取点のシーンです.
あっさりと決まった,と感じた方も多いのではないでしょうか.
この得点は,スローインからシュートまで,選手の動きが全て計画通りだった可能性が高いです.
見事でした.


まず,布陣は以下の通りです.
川崎フロンターレは4-3-3,FC東京4-2-3-2です.





計算されたスローインからシュートまでの動き

前半15分,右から左に攻める川崎フロンターレ.
左サイド奥でスローインを得ます.

登里がスローインを入れるのですが,何故か逆サイドの家長が寄ってきます.



よくよく家長の動きを見ると,FC東京のボランチ45番にあえて近づいて,気を引くように動いています.
その結果,FC東京のボランチ45番は家長について行きます.
ボランチが一人居なくなったため,バイタルエリアに広大なスペースが生まれました.

登里は家長を使わないで,長谷川の方を向いた後に,ダミアンへ出します.


それを見た大島は,家長が作ったスペースに入ります.
もう,シュートを打つ気満々で.
ダミアンも,身体の向きがゴールでは無く,大島の方へ向いている気がしないでも無いです.

この後,ダミアンからのパスを大島がダイレクトでシュートを打って先取点を得ます.
チーム全体の動きで獲得した見事な先取点でした.

家長がFC東京のボランチを釣るというのが前提ですが,おそらく,「家長にFC東京のボランチが釣られなかった場合は,こう攻める」というのも決まっているのではないかと思います.

川崎フロンターレは,Aに対応されたらB,Bに対応されたらAという戦術をかなり準備出来ていそうな気がします.
前節の家長→長谷川のロングパスで獲った先取点も,ボールサイドに寄りすぎた相手には凄く効果があります.
逆に,こういったロングパスを警戒して寄ってこないなら,いつも通り,サイドをズタズタにすれば良いだけです.

色々とダミアンの影響が大きい気がします.

しかし,FC東京を見ていると,前節の鹿島アントラーズは強かったのですね.



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2020年7月6日月曜日

2020年 第2節 川崎フロンターレ 対 鹿島アントラーズ

川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ
前半追加点のシーンです.
4-4-2のサイドハーフを無力化し,見事に相手を崩しました.


まず,布陣は以下の通りです.
川崎フロンターレは4-3-3,鹿島アントラーズは4-4-2です.




1.鹿島サイドハーフの守備

鹿島アントラーズは普通の4-4-2で守ります.
4-4-2の守備はサイドハーフがどの程度守備を頑張るかで,強度が極端に変わります.
川崎フロンターレは,サイドハーフの守備の綻びから崩していきたいところ.


前半6分,左から右に攻める川崎フロンターレ.
川崎フロンターレの13番,右サイドバック山根が長い距離を走ってオーバーラップ.
鹿島アントラーズの左サイドハーフ11番はしっかりと着いてきます.


前半,9分.
ロングボールが山根に通ります.
そこへも,しっかりと鹿島の左サイドハーフ11番は戻ってきます.



鹿島アントラーズの両サイドハーフは,そこそこの強度で守備に貢献します.
それなので,川崎フロンターレはなかなか崩せなくて大変・・・とはならず,狙い通りです.
川崎フロンターレの両サイドバックの攻撃を,サイドハーフに対応させるのは,体力的にほぼ無理です.
必ず綻びが生じます.
川崎フロンターレは,その綻びをエグいほどに狙っています.


2.サイドの崩し

前半の29分.追加点につながる場面です.



左サイドバックの登里がハーフライン少し手前までドリブルして,センターバックの谷口にボールを戻した所です.
ここから,ジェジエウを経由して,右サイドバック山根までボールが渡ります.


山根にボールが渡った場面です.
鹿島アントラーズの左サイドハーフ11番は,ジョグで見ています.
代わりに,鹿島アントラーズの左サイドバック14番が山根に向かって詰めてきています.

もう,最高の場面です.

サイドバック対サイドバックの状況が作れました.
山根は,この場面で勝負できないようなら,攻撃参加する意味なし.
鹿島アントラーズの左サイドハーフが微妙に前に残っているので,もしボールを獲られたらかなりのピンチになります.
けど,勝負でしょう.

家長が左サイドバックの裏に向けて走って,山根は中央に向けてドリブル勝負.


山根は見事に,抜け出ます.
そうすると,どうなるかというと,家長をケアしていた鹿島のセンターバック28番が山根の方を向かざるを得なくなります.
そのタイミングで山根は,フリーになった家長へとパス.

センターバックが一枚出てきているので,中央には2対2の状況が出来上がっています.
ここで,ダミアンがボールに寄りすぎていないのも素晴らしい.

鹿島アントラーズの右サイドバック2番からすると,最悪な状況.

家長はゆっくりと前線を確認してクロス.
ダミアンを通り越したボールは長谷川に収まって,ナイスゴールに.

見事でした.


鹿島アントラーズは,川崎フロンターレの対策をしたと思えない守備.
監督は古い人なのでしょうか.
逆に,川崎フロンターレは,このレベルのできの相手ならあと1~2点は獲って欲しかった.



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