2017年8月20日日曜日

川崎フロンターレ VS コンサドーレ札幌 -増えた勝負パス-

概要


予定通りコンサドーレ札幌は,5-4-1で守ってきた.

引いて守る相手の守備を川崎フロンターレがどう攻めるか,アウェイで行われた第7節のコンサドーレ札幌戦と比較した.

ペナルティーエリア内へのパスは,第7節の4本から13本へと増えた.

このパスが増えた要因は,大島の存在が大きい.

布陣


川崎フロンターレは,4-2-3-1,コンサドーレ札幌は守備の時5-4-1.




ラストパスの数と出所


コンサドーレ札幌は,5-4-1と引いて守備をしてくる.
その相手に,どうやって崩すかが問題である.

前回の記事では,押し込んだ後の攻め方として,ラストパスの数と出所をマンチェスターCと比較した.

ラストパスは,以下の条件を満たすように数えた.

1.セットオフェンス時のパスであること.
2.ペナルティーエリア内に居る(または走り込んでいる)選手へ向けたパスであること.
3.シュートに結びつかなくても,1.と2.を満たしていれば数える.
4.カウンターにおける攻撃の時は考慮しない.
5.コーナーキックは数えない.

第7節のコンサドーレ札幌戦において,前半のラストパスの本数はたったの4本だった.

今回の第23節では13本.約3倍に増えた.

このパスの数は,マンチェスターCの19本と比べても遜色ない.

以下の図は,第7節と第23節の比較になる.
左図が第7節,右図が第23節である.
第23節に関しては,パスの出しても記載した.




第23節のラストパスは,大きく分けて,以下の4つの種類に分けられる.

1.大島から,ディフェンスラインの裏へのスルーパス
2.右サイドを突破して,中央に出すクロス
3.車屋からのクロス
4.ネットから,ディフェンスラインの裏へのスルーパス

1.は先制点につながっている.
2.は川崎フロンターレのパス回しが十分に成功していることを示していると思う.
しかし,クロスをあげるのが小林だというのは疑問がある.
小林にはフィニッシュを決めて欲しい.

まあ,後半には登里のクロスから追加点を決めているが.

大島の存在は大きい.
大島は,ビルドアップをスムーズにするだけでなく,勝負のパスも出すことができる.
ちなみに,第7節のコンサドーレ札幌戦に,大島は不在である.

今後,ラストパスを増やしていくためには,ボール回しをもっと早くする必要がある.
パスの出す場所が無いことを,ボールを止めて確認し逆サイドに振る,ということが多々あった.
もっと判断を速くして,ボールを大きく動かし欲しい.


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2017年8月18日金曜日

押し込んだ後の攻め方

概要


次節のコンサドーレ札幌は,自陣に引いて5-4-1で守ってくると思われる.
自陣に思いっきり引いた相手に対して,どうやって攻めるか海外のチームと比較をしてみた.

ラストパスの出所

 

プレミアリーグ 第1節 ブライトンVSマンチェスターC.
ブライトンは4-4-2で自陣に徹底的に引きこもる.
この引きこもった相手に対して,マンチェスターCがどう攻めるのかを見た.

攻め方を見るために,勝負のラストパスが何処から出されるのか数えてみた.

今回のラストパスは,以下の条件を満たすように数えた.

1.セットオフェンス時のパスであること.
2.ペナルティーエリア内に居る(または走り込んでいる)選手へ向けたパスであること.
3.シュートに結びつかなくても,1.と2.を満たしていれば数える.
4.カウンターにおける攻撃の時は考慮しない.
5.コーナーキックは数えない.



ラストパスは,前半だけで19回出ていた.
パスが出た場所は,以下の図の赤丸に示した.



ラストパスが出された場所は,図の黒丸に示すように3つの領域に分けられる.

1は,ペナルティーエリア脇からのクロス.
車屋や登里がサイドを抉って出すラストパスのイメージである.

2は,中央付近からディフェンスラインの裏へ走るフォワードへ,グランダーのスルーパスが2本くらい.
中村憲剛が出すスルーパスに似ている.




最後に,一番本数の多い3は,裏に走り込むフォワードへ出す浮き球(またはクロス?).



パスの出し手が前を向いた瞬間にフォワードが裏に走る.
そこへグランダーでは無く浮いたボールでパスを出す.

ディフェンスラインとゴールラインの間は非常に狭いが,そこを狙ったパス.

川崎フロンターレでは,ほとんど見かけないパス.
たまに,ネットから長谷川へ出るパスが近いかもしれない.
ただ,ネットから長谷川へのパスは,もっとディフェンスラインとゴールラインが離れていたときだった気がする.



さて,このようなラストパスを,川崎フロンターレはどれくらい出しているのか数えてみた.

対象とした試合は,第7節のコンサドーレ札幌戦の前半.




・・・・.前半通して4回だけ.
マンチェスターCの19回と比べると,かなり少ない.

まあ,第7節あたりは怪我人多発でかなり苦労していた時期である.
その頃からすると,だいぶ改善していると思われる.

ちなみに,マンチェスターCは,19回もラストパスを出すほど圧倒したにも関わらず,前半無得点である.

川崎フロンターレは,もっともっと攻めて良い.

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画像は(株)Jリークメディアプロモーションが制作し,DAZNが放映したのを引用した.
ただし,画像中の名前,数字,矢印などの記号は著者が加筆した.

2017年8月14日月曜日

川崎フロンターレ VS 鹿島アントラーズ ー爽快なダメ押し点ー

概要


首位の鹿島に快勝.
ダメ押しとなる家長の得点までの流れが,非常に爽快だった.
ついでに,セットオフェンスでの危険なプレーを見ていきたい.


布陣

川崎フロンターレは,4-2-3-1,鹿島アントラーズは4-4-2.




爽快なダメ押し点


右にあるゴールを守る川崎フロンターレ.
場面は70分ころ.
中央付近でハイネルと鹿島の選手が競り合い,お互いに頭をぶつけて倒れているところ.


ネットは,すかさず外にボールを出せとアピール.
その一方で,鹿島の9番はクロスを要求.
頭をぶつけてお互いに倒れているのだから,安全のためにも試合は止めるべき.



ボールは鹿島の30番に渡る.
ハイネルを心配そうに見るネット.
奈良も外に出すようにアピール.
相変わらずクロスを要求する鹿島9番.



しれっとドリブルで前進する鹿島30番.
ぶち切れてスライディングで止めるネット.



こぼれ球を大島が拾う.
大島は,試合を止めるためにボールをピッチ外に蹴り出す.
奈良もボールを出すように言っているのがわかる.

その後,中村に代えて小林が入ってきてスローインから開始するのだが・・・.



ボールを戻す気が全くない鹿島の選手たち.
怒る奈良とネット.

ボールをピッチ外に出したのは,選手交代のためでは無く,頭を打った選手の治療のため.
普通はボールを戻す.




スローインに対して,家長,大島,ハイネルの3人で強襲し奪い返す.
・・・やはり怒っているのか.



そのまま一気にカウンターで家長のフィニッシュ.

・・・かなり爽快.
しかも決めたのが家長.
素晴らしい.

しかし,気になるのは頭をぶつけて倒れたときの対応.
脳しんとうの可能性がある.
頭以外の部分であれば,倒れていても審判が止めない限り進めてよいとは思う.
しかし,頭をぶつけてお互いに倒れているのだから.

ルール的には,どうなっているかというと2016年以降に適用されている「競技中、選手に脳振盪の疑いが生じた場合の対応【サッカー日本代表、Jリーグ対象】」に記載があった.

競技中、選手が頭頸部を強く打ったと主審が判断した場合、主審はすみやかに当該選手のチームドクターをピッチ内に呼び、チームドクターは診断をする。主審の判断、またはチームドクターからの要請を受けた主審からの合図により、ハードボードの担架を適宜ピッチに入れる。
サッカーファミリー メディカルインフォメーションより引用
http://www.jfa.jp/football_family/medical/b10.html

強く打ったと主審が判断しなかったのかもしれない.
しかし,川崎フロンターレの選手だけで無く,競り合った鹿島アントラーズの選手も倒れている.
だから試合は止めるべきだったと思う.
さらに,大島が試合を止めるためにボールをピッチ外に意図的に出したことすら無視されている.
主審の判断にも疑問がある.

何にしても,一連のプレーで大きなけが人が無くよかった.



セットオフェンスでの危険なプレー


首位の鹿島が相手であるにもかかわらず,いつも通りのパス回しを行えた.
その崩しの中で危険なプレーがあったので,見ていきたい.

前半の39分.
左から右に攻める川崎フロンターレ.
鹿島の選手全員を,自陣に押し込んだ状態.



家長から中村になかなか見事な縦パスが入る.
中村は,ここまでに至る動きも見事で,プレスがかからない状態でパスを受けることができている.



それを見て,前にスプリントする家長と大島.
・・・二人同時にというのが,かなりリスクが大きい.

パスアンドゴーは,基本である.
しかし,ネットのいつものプレーを見て分かるようにリスクは大きい.
もちろん,通ればかなりのチャンスになるが.

さらに,ここでは家長のパスアンドゴーだけでなく,大島も前にスプリントしている.
大島と家長のいた場所は誰もいなくなり,途中でボールを取られたら,容易くゴール前までボールを運ばれる.

案の定,中村からのパスが鹿島の選手に引っかかり,決定機まで持って行かれている.

二人同時に前にスプリントするのは,チャンスにつながる.
しかし,リスクが大きいのを忘れてはならない.

今の場面だったら,
① 中村は大島の裏に入る
② 車屋は家長の裏に入る
といった対応が考えられる.
せめて,①だけでも必要かと思う.


首位の鹿島相手に,いつも通りのプレーをできて,さらに改善点もある.
今後がさらに楽しみになった一戦だった.


余談.
後半61分.選手交代で鹿島の30番が出てきた場面.
DAZNでは確認できなかったが,NHKでは副審の隣で指示を出す菊池新吉コーチの姿が映っていた.
交代で入る30番を警戒せよ!という指示だったのだろうか?
選手交代のボードが出ている真横で指示を出すコーチ.
なかなか珍しい場面だった.



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画像は(株)Jリークメディアプロモーションが制作し,DAZNが放映したのを引用した.
ただし,画像中の名前,数字,矢印などの記号は著者が加筆した.